経過報告

前回の投稿でリクガメの治療について書かせていただきました。

その後のご報告。

あの後も色々内科治療をしていましたが、総排泄腔脱の再発を繰り返していました。

鳥や爬虫類は便の通る消化管、尿が通る尿道、卵の通る卵管が合わさる総排泄腔をもち、それぞれの臓器に病気をもつと、いきみから総排泄腔脱をおこします。 

尿路結石から膀胱脱、卵塞から卵管脱、便秘や腸炎、なかには腸重積などから結腸脱を起こします。

他にも低カルシウム血症やお腹の中のしこり、呼吸困難、肥満なども原因に挙げられます。

当院のカメについては、レントゲン検査で尿路結石や卵塞(そもそも♂)、便秘や呼吸器疾患も見られませんでした。

これまでの内科治療に対する反応も乏しかったため、原因究明のために試験開腹を行いました。犬猫と違い、カメは甲羅があるため、かなり大変でした。

結果的に、腸にも異物や腸重積はみられず、原因不明という判断・・・。

お腹を閉じて、総排泄孔(おしりの穴)を糸で縫い、経過観察としました。

これは、術後26日目の写真。四隅の白いのはエポキシ樹脂で、甲羅を固定しています。

食欲はかなり旺盛ですし、総排泄腔脱も見られませんが、以前よりやや軟便と排便回数が多いです。なんともスッキリしない結果となりました。

3月に入ってから、犬猫ともにマダニが寄生している子をよく見かけます。また、蚊を見るようになったということで、フィラリア予防に来院される方も増えてきました。

予防が抜けたことでフィラリアに感染した例も、ときどき見受けられます。早めの予防開始と、継続をお勧めしております。

リクガメ治療中

当院にて飼育中のギリシャリクガメ(♂・2歳)のオリーブです。

お迎え時から拒食症になり、購入したペットショップの店員さんや動物園で働く知人に相談したり、専門書を読み漁ったりして、色々治療を試し、飼育環境を再確認し食事を変更したりして、何とか乗り越えてくれました。

犬や猫に比べて、

  • 血管が見えず、採血が困難
  • 甲羅で覆われており、レントゲンや超音波検査といった画像診断が困難
  • 甲羅に入ってしまうと、処置も困難 

など、一筋縄では行きません。まして、以前に比べましになったとはいえ、獣医学的情報も少ないため、治療も試行錯誤となります。

カメに限らず、エキゾチックペットの診療はわからないことが多く、犬猫では当たり前なことが出来ないもどかしさがあります。

コロナ禍で犬や猫をお迎えする方が多くなった一方で、飼えなくなったと手放す方も多いと聞きます。日本だけに限らず、海外でも同様な事例があるそうです。

犬猫にくらべ、エキゾチックペットの飼育方法はいまだ発展途上な部分もあるため、安易にお迎えすることなく、よく下調べをして、自信がない場合には諦めるのも大切なことかと思います。また、お迎えするにあたっては最後まで責任をもって飼育すること。間違っても飼えなくなったからと、捨てたりしないように。

色々偉そうなことを述べましたが、当院のリクガメは2週間ほど前から、食欲低下と  下痢・軟便、総排泄腔脱(脱腸みたいなものです)で治療中です。便検査やレントゲン検査をしましたが、これといった原因は不明です。抗生剤・補液(点滴)・強制給餌を実施し、最近やっと自力での食事を摂るようになってくれました。

機会がありましたら、経過の報告をさせていただきます。

あまり多くはありませんが

普段は犬猫がメインですが、ときどき珍しい動物も来院します。

最近ブームになっているのが、フクロモモンガとハリネズミですね。

よくテレビでも取り上げられたりしていますが、

10数年前から徐々に増えてきた気がしますね。

問題はどちらも身体検査が難しいこと(その子の慣れ具合にもよりますが・・・)。

写真の子は、麻酔をかけてからの爪切りです。

ついでに歯周病がないか、口の中を見たり。

次は遠方からミシシッピアカミミガメさん。

たまにあるのが、高所からの落下。

ベランダから落ちて、甲羅が割れたとのことで来院。

カメの甲羅は他の動物同様、背骨や肋骨があり、

それをうめる骨板からなります。

外傷により内臓の損傷がないか、確認したのち、

ワイヤーとパテなどで固定していきます。

2か月ほどになりますが、食欲もあり元気になってきました。

犬猫以外のエキゾチックアニマルは、診療する機会が少なく、

試行錯誤しながら、ときには飼い主様に教えていただいたりして、

治療していく必要があります。

ご来院の際は、普段の飼育環境や食事などがわかる写真などあると、

ありがたいです。